OSCE

Objective Structured Clinical Examination

 OSCE(Objective Structured Clinical Examination)とは,医学・歯学教育において,臨床実習開始前の学生評価のための共用試験(臨床実習開始前の学生評価のための共用試験)の中で,臨床技能・態度を評価する客観的臨床能力試験として実施されているものである。

 モデル・コア・カリキュラム(医学教育および歯学教育モデル・コア・カリキュラム-教育内容ガイドライン)には,科学技術の進歩により膨大な量となった医学・歯学教育の内容を,必要最小限の必須の内容として精選し,学生が卒業までに習得して身に付けておくべき実践的能力(competences)が到達目標として客観的に評価できるよう具体的かつ明確に示されている。臨床実習(診療参加型臨床実習:Bed Side Learning)では,医学生等も,診療チームの一員として,患者の診療に参加しながら学ぶことが求められており,患者に接するために必要不可欠な知識と技能・態度が備わっていることが求められている。共用試験は,そのような知識と技能・態度が身についているかどうかを評価する全国共通の標準評価試験であり,公益社団法人医療系大学間共用試験実施評価機構が実施・運用している。臨床実習に必要な知識については総合的理解力を,コンピュータを用いて客観的に評価するCBT(Computer Based Testing)が実施されており,臨床技能・態度についてはOSCE(Objective Structured Clinical Examination)が実施されている。

 具体的な技能・態度の内容については「診療参加型臨床実習に参加する学生に必要とされる学習・評価項目」に以下の構成でとりまとめられている。(1)医療面接および身体診察・手技に関する共通の学習・評価項目,(2)医療面接,(3)全身状態とバイタルサイン,(4)頭頸部,(5)胸部,(6)腹部,(7)神経,(8)四肢と脊柱,(9)基本的臨床手技,(10)救急。これらの学習・評価項目に準拠して,技能・態度を評価する複数((1)医療面接,(2)頭頸部診察,(3)胸部診察・バイタルサイン測定,(4)腹部診察,(5)神経診察,(6)外科手技・救急)のステーション(場面)がOSCEには用意されている。各ステーションには,模擬患者,OSCE評価者(教員),必要なシミュレーター等の機器が配置されており,ステーション毎に課題(シナリオ)が設定されている。評価を受ける学生は,順番にステーションに入り,指定された課題についての技能を一定時間内に実施する。OSCEの評価者は大学内部の教員(内部評価者)と他大学教員(外部評価者)から構成されており,標準的な共通評価方法に基づき,学生の技能と態度を評価している。OSCEを適正に実施し,公平性・客観性・透明性を確保するために,公益社団法人医療系大学間共用試験実施評価機構から他大学の教員がモニターとして派遣され,実施状況を監視している。

【関連用語】

モデル・コア・カリキュラム,共用試験,臨床実習,CBT