地域医療連携パス

Community Medicine Path, Community Medicine Critical Pathway

 地域連携クリティカルパスといい,クリティカルパスとは,良質な医療を効率的,かつ安全,適正に提供するための手段として開発された診療計画表のことで,治療の標準化・情報共有・治療経過の可視化,チーム医療の向上などの効果が期待されている。地域医療連携パスは機能分化した各施設の役割分担に基づき,急性期病院から回復期病院を経て早期に自宅に帰れるような診療計画を作成し,治療を受ける全ての医療機関で共有して用いることにより,施設間の壁を越えて一貫した治療の流れを確立するためのクリティカルパスで,内容としては,施設ごとの治療経過に従って,診療ガイドライン等に基づき,診療内容や達成目標等を診療計画として明示することにより,医療連携体制に基づく地域完結型医療を具体的に実現することを目的としている。
2007(平成19)年4月に施行された第5次医療法改正における医療計画の見直しでは,連携パスの作成などによって地域の医療連携体制を構築していく4つの疾病として「がん」,「脳卒中」,「糖尿病」,「急性心筋梗塞」が対象となった。

 2006(平成18)年度の診療報酬改定で大腿骨頸部骨折の患者について連携パスを評価した「地域連携診療計画管理料」(紹介する側の医療機関が算定)及び「地域連携診療計画退院時指導料」(紹介される側の医療機関が算定)が設けられ,2008(平成20)年度の診療報酬改定で地域連携診療計画(地域連携パス)に関する検証結果及び医療計画の見直しを踏まえ,対象疾患に「脳卒中」が追加されるとともに「地域連携診療計画管理料」及び「地域連携診療計画退院時指導料」の引き下げが行われた。

 2016(平成28)年度の診療報酬改定においては,この2つの算定要件は廃止され,代替として「退院支援加算」及び「地域連携診療計画加算」が新設された。

 地域連携パスには「一方向型(リハビリ型)」,「双方向型(循環型)」,「在宅支援型」の3種類があり,一方向型(リハビリ型)は,急性期病院で手術後,回復期リハビリ病院やかかりつけ医等で十分なリハビリを行い,自宅療養を目指すもので,急性期・回復期・維持期と病期が変わるごとに異なる診療チームが担当するもので,対象疾患として脳卒中や大腿骨頚部骨折がある。

 双方向型(循環型)は,かかりつけ医と専門病院を定期的に循環して診療するもので,対象疾患として糖尿病,がん,急性心筋梗塞等がある。

 在宅支援型はかかりつけ医グループ・介護事業所等が対応し,後方病院が必要時支援するもので,在宅終末期ケア,在宅栄養管理などで適用される。

【関連用語】

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