EBM

Evidence-based Medicine

 EBM(Evidence-based Medicine)は「証拠に基づく医療」などと翻訳されているが,一般にEBMの方が通りがよい。EBMという言葉が世に出たのは比較的新しい。カナダのマクマスター大学のGordon Guyattが1991年に雑誌ACCPジャーナルクラブに投稿した論文に初めて用いた言葉と言われている1)。それ以前はEBMとは呼ばれていなかったが,そのルーツはエール大学のAlvan Feinsteinらにより発展した,臨床判断に統計学的手段を取り入れた「臨床疫学」である。Guyattのいるカナダのマクマスター大学が医学教育で今までの講義主体の教育方式にかわってPBL(問題解決型授業)を取り入れたことも大きい。その後,マクマスター大学ではDavid Sakettにより,世界初の臨床疫学部と生物統計部門ができた。Sackettの特筆すべき業績は,Critical Appraisal of the Literature(文献の批判的吟味)という方法を提唱したことである。これが現在のEBMのやり方の基礎になっている。統計学的手法や結果の評価が誤った文献が現実に多くある中で,目の前の患者に対して,文献の内的妥当性(論文の方法が正しいか)や外的妥当性(自分の患者に応用可能かどうか)を検証し,文献の内容を批判的に見る態度である。

 カナダで基盤を固めたSakettは1994年にオックスフォード大学に渡り,Centre for Evidence-based Medicine(CEBM)を作った。これが英国にEBMが普及するもととなった。同じころに,ウェールズ出身のArchie Cochraneもランダム化試験をエビデンスレベルが高いとして推奨し,英国のNHSに影響を与えた。彼の名前を冠したコクランライブラリーというのが,メタアナリシスのデータベースで有名である。

 EBMでは,医療を実践するときにエビデンスレベルの高いものに基づくように推奨している。もっともエビデンスレベルの高いものは,ランダム化比較試験のメタアナリシス報告であり,続いて単一または少数のランダム化比較試験に基づくもの,症例報告などと続き,その分野の権威者の言葉を一番エビデンスレベルの低いものとしている。これが現在の診療ガイドラインに応用されているのは周知の事実である。

  1. Guyatt GH:Evidence-based medicine.ACP J Club,1991;114 (suppl 2):A-16

【関連用語】

なし