医療ソーシャルワーカー

Medical Social Worker

 2002年に厚生労働省により改定された業務指針によれば,医療ソーシャルワーカーとは,「保健医療の場において,社会福祉の立場から患者の抱える経済的,心理的・社会的問題の解決,調整を援助し,社会復帰の促進を図る」職種と定義され,その具体的な業務内容は,(1)療養中の心理的・社会的問題の解決,調整援助,(2)退院援助,(3)社会復帰援助,(4)受診・受療援助,(5)経済的問題の解決,調整援助,(6)地域活動である。医療ソーシャルワーカーとして勤務するための資格はないが,多くは社会福祉系大学等の専門教育を修了した後業務に従事しており,主たる資格としては社会福祉士・精神保健福祉士がある。2020年の病院報告によれば,病院に勤務するソーシャルワーカーの過半数が社会福祉士であり,3割が精神保健福祉士である。

 診療報酬においては,2008年に新設された「退院調整加算」の施設基準として,退院調整部門に看護師または社会福祉士の配置が定められ,以後は入退院支援に関わる職種として位置付けられ,回復期リハビリテーション病棟をはじめ病棟ごとの配置も拡大している。また,市町村が設置する地域包括支援センターは社会福祉士の配置が条件であり,医療・介護・福祉をつなぐ相談業務の専門職として位置付けられている。2018年の社会福祉法改正では,地域共生社会を目指すという方針の下,住民に身近な圏域において相談を包括的に受け止める体制の整備が必要となった。医療機関のソーシャルワーカーは,市町村と連携し,退院調整等だけでなく,地域の様々な相談を受け止めることも期待されている。患者個々への支援にくわえ,多機関・多職種の連携による支援体制づくりが求められているといえよう。

【関連用語】

社会福祉士,精神保健福祉士,入退院支援