地域連携診療計画

Community Medicine Care Plan

 2006(平成18)年に厚生労働省の「医療制度改革大綱による改革の基本的な考え方」において「医療機能の分化・連携の推進による切れ目のない医療の提供」が掲げられ,そのためのツールとして「地域連携パス」が挙げられた。さらに2006(平成18)年度の診療報酬改定で,大腿骨頚部骨折の地域連携パスが診療報酬上で初めて評価され,「地域連携診療計画管理料」と「地域連携診療計画退院時指導料」が新設された。2008(平成20)年度の診療報酬改定では脳卒中が対象疾患に加わり,地域連携パスは全国的に普及が進んできた。「地域連携診療計画管理料」は計画管理病院(連携パスを作成・管理する病院)が退院患者に対して算定するもので,一般病棟の入院患者の平均在院日数が17日以内である病院で,当該病院からの転院後又は退院後の治療等を担う複数の保険医療機関又は介護サービス事業者等に記載した地域連携診療計画をあらかじめ作成する等の基準がある。「地域連携診療計画退院時指導料」は計画管理病院から患者を引き継いだ連携医療機関において,計画管理病院が作成した地域連携診療計画に基づく退院後の診療計画を作成した場合に算定することができる。

 2016(平成28)年度診療報酬改定においては,2025(平成37)年に向けて,地域包括ケアシステムと効果的・効率的で質の高い医療提供体制の構築を図り,地域包括ケアシステムの推進と医療機能の機能分化・強化,連携に関する充実等に取り組む観点から,患者が安心・納得して退院し,早期に住み慣れた地域で療養や生活を継続できるように,積極的な退院支援に対する評価の充実や在宅復帰機能が高い医療機関に対する評価の見直し等を実施し,「地域連携診療計画管理料」と「地域連携診療計画退院時指導料」は廃止され,代替として「退院支援加算」及び「地域連携診療計画加算」が新設された。特に「退院支援加算1」では入院時早期から(3日以内)退院困難な患者を抽出し,7日以内に患者・家族と面談,退院調整部門の設置と専従職員(看護師又は社会福祉士),病棟への退院支援職員の配置,連携する医療機関等(20か所以上)の職員と定期的な面会を実施(3回/年以上)などが算定要件となっており,厚生労働省の調査でも,院外の医療機関や介護施設との連携が多いほど早期退院につながっていることが明らかになっていることから入院時から退院後の生活も見据えた退院支援を目指し,地域包括ケアシステムの推進のための医療・介護の連携強化促進を図ることを見据えている。

【関連用語】

community medicine care plan,医療制度改革大綱による改革の基本的な考え方,地域連携パス,診療報酬改定,大腿骨頚部骨折,脳卒中,地域連携診療計画管理料,地域連携診療計画退院時指導料,計画管理病院,地域包括ケアシステム,退院支援加算,地域連携診療計画加算